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セネガル奥地にある村訪問の旅② ~Ibel(イベル)に住むプール族のお宅にウルルン滞在記~

2015-10-08 07:27:00 セネガル : イベル

ボンジュール

~前回の続き~

10:00前に鳴った目覚ましで起床。
窓のないこの部屋は、夜は蒸し暑いけど、朝になると少し冷える。

起きてからもしばらくゴロゴロしていた。
昨日、10:00に迎えに来てと頼んでおいたが、10:00きっかりに来るなんて到底思えなかったからだ。
10:30になる前にやっと外に出た。
バイクの青年はまだ来ていない。
時間を守らないなんてことはわかりきったことだけど、こういうとき時間が遅くなればなるほど減額になる契約をすることはとても有用だと実感した。
遅くなっても金額が安くなるだけ。失われた効用の分、かかるコストも減少する。

一通り支払いを済ませて、家族のみんなと話したり、家の手伝いをしている兄ちゃんと話していた。
母ちゃんのお仕事のお手伝い、偉いねー^ω^
セネガル奥地にある村訪問の旅② ~Ibel(イベル)に住むプール族のお宅にウルルン滞在記~

兄ちゃんはなんだか朝からテンションが高い。


「昨日はダンスパーティーの後、シスターが俺の部屋にきてさー!げへへへ!」

「え、それって、、そういうこと、、?」

がっはっはっはっは、いぇーい!(ハイファイブ)

いやらしい顔つきで笑う兄ちゃん。

え、でもそれって近親相…いや、なんでもない。
あ、でもシスターといっても、一夫多妻制のここ一帯のファミリーにおいて、母親違いの兄弟というのは、俺にとってのそれとは位置付けが異なるのかもしれない。



話をしていると、突然兄ちゃんが、コレ、と言ってあるものを差し出してきた。

アフリカンカラーのネックレスだ。

これは、兄ちゃんが首につけていたのを昨日俺が「コレすごいいいね!」と褒めたものだった。

「これ好きだって言っただろ?プレゼントだ」


え?まじで。。。?本当にいいの?


この男はやはり男前だった。
あああ、どうもありがとう。本当に嬉しい。。



それにしてもバイクの青年が一向に来ない。
前日に貰っておいた青年の電話番号に兄ちゃんが電話してくれたんだけど、青年はどうやらこっちに向かっているとのこと。
でもこれから向かい始めるのか、向かってる途中なのかがわからなかった。
もしこれから向かうのだったら、来るのは大分遅くなる。今日サレマタに戻ってそこから次の村に向かおうと思っているのに、、、遅くなったら次の村に行く車に乗れなくなるじゃないか!
前日にいろいろと聞いた情報によると、13:00にサレマタから俺が目指そうとする村、Ibel(イベル)までの車が出るそうだ。

11:00になっても来る気配がなかったから、兄ちゃんに、
「どうしよう、時間の無駄だし、もうこの村でサレマタに戻るバイクを出してくれる人探そうかな。」
と言うと、
「それがいい、一緒にバイクを探しに行こう」
と言ってくれ、宿を出て村の中心に向かって歩き出した。

焦って早足で歩く俺に、兄ちゃんは急に「しっ!!」と聞き耳をたてるように促した。



ブオオオオン



バイクの音だ!
バイクでこの村に訪問する人なんてそうそういない。
きっとあの青年だ。と急いで昨日バイクを降りた場所まで走っていくと、気まずそうに笑いながらバイクをこっちに走らせる青年の姿が見えた。

「10:00って言ったっしょー!もう11:20だよ!遅い遅い!」

安心感からか、文句を言う俺の顔は笑っていたと思う。

急いで荷物を担いで、子供達と兄ちゃんに別れを告げた。
イニシエーションは見れなかった。
けど、普通に生きていたらきっと一生来ることのなかったこの村で、一生会うことのなかった彼らと時間を共有することができただけで、過酷な道に耐えてまでここに来た価値がある。


どうもありがとうみんな!めっちゃ楽しかったよ!バイバイ!!
セネガル奥地にある村訪問の旅② ~Ibel(イベル)に住むプール族のお宅にウルルン滞在記~


別れの余韻に浸る間もなく、バイクはグイグイと進んで行く。来た時よりも気持ちスピードが出てる気がする。
バイク青年からしたら、昨日から数えてこの道はもう4回目。笑 もうどのラインを攻めるのが一番効率が良いかを把握しているのだろう。
とはいってもやはり道は悪く、スピードを出すもんだからガタガタ揺れるバイクにしがみつくので必死だったりで、はたから見たら危なっかしく見えていたと思う。

気づくと後ろに同じようにエチオロからサレマタに向かっているのであろうバイクのおっちゃんが走っていた。
二人乗りをしている自分たちのバイクを追い越し、ものすごいスピードで一気に見えなくなってしまった。
が、少し進むと停車しているのが見えた。どうやら自分らを待っているようだ。

「おい!その荷物じゃぐっらぐらで大変だろ!!でかい方のバックパック、俺のバイクに乗せろ!」
「あ!いやでも大丈夫だよ!(きっとお金請求されるだろうし)」
「いいから早くバッグ下ろしなさい。危ないから」
「あーうん、、でも、、おいくら、、、?」
「ん?あー、ノーマニーだよノーマニー!!

おっちゃん、心から危なく見えたからバックパックを自分のバイクに積んであげようと思ったようだ。
なんだか、こうやってお金が欲しいことを前提に考えてしまう自分がたまに恥ずかしくなる。けれど、現に存在する金欲しさの好意をばらまく連中がいる限り、このバリアは取り除くことができない。


お言葉に甘えておっちゃんのバイクにバックパックをくくりつけた。
一気に身軽になったバイクはおっちゃんのスピードについていけるようになった。

どうも見覚えのない道だなと思っていたら、青年、行きとは違う道を発見していたらしい。
途中丸太を3本かけただけの簡易な橋(高さは1mほど)を渡らなければいけないような小さな川で、おっちゃんのバイクの前半分が川に落下、後輪が辛うじて橋に残り、3人総出でバイクを救出したり、下り坂をオフロードレースのごとく猛スピードで下ったり、どこのインディージョーンズだよ
青年が後ろを振り返り、「もう握力が限界だ。。運転代わってくれないか?」的な何かを言ってくる。


いやいやいやいやいやいやできるわけないだろ、ほんと頼む、あと少し頑張って!


荷物は軽くなったことにより、行きよりも激しめの運転で疲労度は変わらなかったものの、時間はきっかり1時間でサレマタに到着した。
迎えに来る時間30分ごとに減額ルール適用で、5500CFA払う約束のところを、4500CFAのみ支払い、青年とはバイバイ。
おっちゃんからもバックパックを受け取って、歩き始めると、ちょうどKedougou方面に向かう(戻る)車を見つけ、スープカンジェを食べながら出発を待った。
次に目指すイベルはKedougouとサレマタの途中にある村だ。ということはこの村に来るときに通っているはずなんだけど、どの村がイベルだったのだろう。

Salemata(サレマタ)→Ibel(イベル) セットプラース(3000CFA+荷物代500CFA)

のんびりスープカンジェを食っていたら、ドライバーに出発だぞ!と急かされた。どうやら俺待ちだったらしい。
言われていた時刻、13:00きっかりに出発。


定刻で発車。こんなことがあっていいのか。隕石でも落ちるんじゃないのか。




セットプラースはいつも通り、汗臭い男たちがぎゅうぎゅうに詰められて、運良く助手席に座らせてもらえたものの、助手席にも二人詰めて座る。
それでも、エチオロからサレマタまでのバイクに比べたら1000倍楽で、体の力を抜いても振り落とされることはないし、ただドアにもたれかかっているだけで良い。

セネガル奥地にある村訪問の旅② ~Ibel(イベル)に住むプール族のお宅にウルルン滞在記~
来るときには稲妻しか見えなかった道が、この時は燦々と太陽に照らされていた。
野生のロバや猿が時折道の脇に現れて、車と競争するように走っている。
赤ちゃんを背中に抱え、頭には大きな荷物を乗せ、カラフルな布を身にまとったあの女性はどこから歩いてきたのだろう。
眼に映る全ての光景がこの旅に刻まれていく。

乗っている乗用車は、サレマタに来た時に乗ったミニバスほどの大きさの車体よりも身軽で、特に大きなトラブルもなくスイスイと進んだ。
サレマタを出発して2時間もしないうちにイベルに着いた。言われてみれば来る時もこの村を見かけたような気がする。
荷物を降ろして近くの大きな樹の下に座っている人たちの下に近寄って行った。


「Iwol(イウォル)にはどうやって行けばいい?」


イウォルとは、この村訪問の旅の中で実は最も行きたかった場所。
最も期待していたし、Kedougouで情報収集をしていた時に、イウォルに住むこの人を訪ねなさいととある人を紹介してもらってもいた。その人なら家に泊めてくれるかもしれない、と。
イベルに来たのはイウォルに行くためだ。エチオロと同様、イウォルまでは車で行けない。バイクか歩きで行けると聞いていたので、イウォルまで行くバイクがないかを聞きに行った。



「イウォル?は?なにそれ?」



このおじいさん、ボケて始めているのだろうか?本気で言ってるのか?Kedougouの人ですら知ってる村を最寄りの村の人が知らないの?
さらなる情報を求め、近くにあった商店に入った。

「イウォルに行きたいんだけど。」
「イウォル?」


ああ、、、、、この村は全員呆けなのかどうなってるのおおおおおおおおおおお


そこに別の男がやってきた。

「イウォルか?よし、ついてこい。」

やっと呆けてない男が現れた。そして勝手に俺の前を歩き始めて勝手に案内を始めた。
その男、俺をバイク乗り場かなんかまで案内してくれるのかと思ったら、どんどん山の方へ足を進める。

「どこ行くの?」
「イウォルだ。」
「は?歩いて行くの?」
「そうだ」
「バイクとかないの」
「バイクでは行けない」

どうやらイウォルは山の上にあるらしく、歩いてしかいけないらしい。
ただ、歩いて1時間もあれば着くとのこと。

ここでまた色々な選択肢が生まれて俺に迷いを生じさせた。
時間は15:00。

①このまま頑張って荷物を持ったまま登る。
 a. 紹介された人の家に泊めてもらう。
 b. 泊まれなかったら上で野宿

②ひとまずイベルに宿を見つける
 a. 見つからなかったら野宿
 b. 見つかったら荷物を置く。今日身軽な状態で登り、上で泊まれたら泊まる。
 c. 見つかったら今日はイベルに泊まる。明日荷物を持って登り、明日上で泊めてもらう。
 d. 見つかったら今日はイベルに泊まる。明日手ぶらで登り、泊まらずに戻ってくる。


ざっとこんな選択肢が頭に浮かんでどうしようか迷う。
どの選択をするにせよ、上まで案内しようとしているこの男に付いて行く気はない。方向を教えてもらって自分一人で行くつもりだ。

ちなみにこの村はなぜかわからないけど、スペイン語を話せる人が多くいた。
フランス語よりはスペイン語の方がまだ話せる俺にとってこれは好都合だったし、久々に口と耳にするスペイン語の響きがなんとも懐かしい気持ちにさせた。
ただ、「Si(スペイン語のyes)」より先に「Oui(フランス語のyes)」が出てきてしまう。フランス語が上達したのか、スペイン語を忘れかかっているのか。。


とりあえず山の麓まで来ていたので、一旦引き返すことに。水がなかったから先ほどの商店まで戻った。

「水ちょうだい」


「ない。フィニ(終了)だフィニ」


は?水が終了?そんなところ初めて見たぞ。面倒臭そうに対応する店主の様子から、しつこくイウォルについて聞いてくるアジア人と絡みたくないとでも思っただろうか。
どちらにせよ、なんだか腹が立つ態度だった。早くどっか行け的な。
イライラしながら立ち去った。

歩き始めたものの目的地は未だ決まっていない。イウォルか、イベルにとどまるか。
空を見上げると、西の空が怪しげに曇っている。

「これは一雨くるな」

セネガルに入ってから、毎日のように雨が降る。昼はカンカンに晴れているのだけど、夜中になると外から土砂降りの音が結構な頻度で聞こえてくる。
なぜ夜限定で降るのかはわからない。何か理由があるんでしょう。
驚くのはその雨量。かなり土砂降り。
空を見る限り、おそらく今夜も降るだろう。というか少ししたら降り始めるだろう。

土砂降りの中野宿をするリスクを冒す勇気は俺にはなかったみたいだ。
とりあえず②-c②-dを目指して行動を開始した。
エチオロみたいな僻地ですら宿があったんだ。きっとこの村にもどこかしら泊まるところがあるはずだ。
そう思い、庭で髪を編んでいる最中の女性たちに宿があるか聞くと、あっちにあるよと東を指差した。
やっぱりあった。ありがとう!
そうすると先ほどの男とは別の男が現れ、campementを探しているのか?こっちだ付いて来いと俺を勝手に案内し始めた。

そしてこの男も、明日イウォルまでガイドしてあげるよと誘ってきている。



イウォルに勝手に案内し始めた男といい、こいつといい、そんなに金が欲しいか。結局は金か?
俺はこいつが言ってくることを無視し続けた。そもそもイウォルどころか、宿にまですら案内してと頼んだ覚えはない。

なんだか急に冷めてきてしまった。
俺に話しかけてくるやつは俺を金としか見ていない。うんざりだ。近寄るな。

「今日はうちに泊まって、明日イウォルに一緒に行こう」

という、今夜家に泊めてくれるという誘いも俺の耳を素通りした。

途中先ほど買えなかった水を買いに商店に入る。

イライラから言葉も乱暴にっていた。
「L'eau」
「はん?」
「だからL'eau、ルウ!」
「(何言ってんのかわかんねーよポーズ)」
「お前の真後ろにある そ れ だ よ」

すべてのことにイライラしてた。言葉が通じないこと、ひたすら付いてくる男、思うように目的地にたどり着けなかいもどかしさ。
実際案内しようとしている男もただの好意でしようとしているのかもしれない。
でもその思考回路にたどり着くほどの余裕がこの時の俺にはなかった。

水を一気飲みして、バイバイと言い捨て、全てを振り切って一人で歩き始めた。
この時だいぶ荒んでいたと思う。俺の気持ちはガッチガチに凍りついていた。


宿があるはずの方向に進んで行ったのだが、すぐに村の終わりが見え、周辺に宿らしきものはない。
村の外は何もない一本道が続き、その先まで宿があるか確かめに行く気力は残っておらず、近くにある民家に宿の場所を聞きに入った。

「すみませーん」
「Hello how are you?」
「あ、英語話せるんだ、よかった、宿があるって聞いたんですけど、、ここ、ではない、かな?」
「宿?それならだいぶ先だぞ?歩いて行くとなると大変だぞ」
「え、、そうなの。。。?うわーそっかーどうしよう、、、(じゃあここら辺に野宿かなあ、、、でも雨が、、、)」
「よかったら俺の兄弟の部屋を貸してやってもいいけど、、」
「え!!本当に?!お願いします!」

という流れで、この日は彼の兄弟の部屋を貸してもらうことになった。
この時部屋を貸してくれると言ってくれたのがスレマ。イベルで生まれ育った42歳男性だ。

彼の住む家は、大きな敷地内にいくつも小屋が並ぶ、いわば小さな村のようになっている。
荷物を部屋に置いて、この小さな村を歩いてみた。

きゃーーーーわーーーーきゃーーーーー♪

見慣れぬ東洋人に興奮気味に駆け寄ってきたのはここに住む子供たち。
スレマの紹介によると、小さい子はみんな3〜5歳くらいなんだって。
この子は弟の子供、この子は兄の子供、と丁寧に一人一人紹介してくれた。
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村の中を一通りスレマが案内してくれる。
中で顔を合わせる人は全員名前と共に紹介してくれた。もちろん俺のことも彼らに紹介してくれて、彼らも笑顔で受け入れてくれた。

「彼女は俺の妹、彼女は俺の母親、彼女は弟の奥さん、彼は兄の息子、彼女は俺の第一の妻……」
第一の妻?!ああそうか一夫多妻制か。」

スレマには現在二人妻がいるとのこと。将来は父親と同じように4人の奥さんを迎えたいと言っていた。
妻を多く迎えるのが男としてのステータスなのだそうだ。
てか親父、4人も妻いるのか、、

ちなみに兄弟はどれくらいいるのか聞くと、同母の兄弟が5人、異母も含めると20人ほどいるらしい。
そしてそれぞれが子供を持っていると考えると、、、
ざっと計算しても50~60人くらいいるのだろう。





あ!この小さな村、みんな家族なのか!!!





複数の母親を持ち、複数の妻を持ち、母親違いの兄弟を持ち、きっと日本にいるどんな大家族よりも大きい家族で生活をする感覚というのは、想像すら及ばない。
この集落の頂点に立つたった一人の「父親」はもはや長老的な位置付けなのだろうか。
あまりにも違いすぎる文化を目の当たりにして俺の中に沸き起こったのは、驚きよりも溢れんばかりの好奇心だ。この人たちともっと一緒にいたい。


数多くの民族が溢れる西アフリカの地で、さらに言えば地球上全ての民族において普遍的に変わらないもの、それ子供達の無邪気さと可愛さだ。
俺がスレマと話している間もずっと足元にまとわりついてきて、遊ぼうよとばかりに手を引っ張ってくる。
写真を撮ってあげると、その写真を見てきゃっきゃと満面の笑みを振りまくし、とにかく純粋で可愛い子たちばかりなのだ。
俺が何気なく口走った日本語を真似して連呼したり、ずっと「ケイっ!ケイっ!ケイっ!ケイっ!」って俺の名前を叫び続けたり。
俺の腰にぶら下がるアサラトが俺の腰の動きとともに鳴るのに合わせて子供たちも腰をフリフリしたり。
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邪念の一切感じられないピュアな笑顔に触れていると、ガチガチに荒み凍っていた気持ちがじんわりと溶けていくのがわかった。

みんなと遊びながら、仕事(?)をしている少女の元へ近寄った。たぶん15歳くらいだろうか。
何してるの?
と聞くと、
この臼と杵を使って餅つきみたいにトウモロコシを細かく砕いているのだ。
これが今晩の夕飯になる。
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俺もやらせてもらった。結構重く、長時間続けるのは骨が折れる作業だ。が、これは女性の仕事。男性がこの作業をしているところを見たことはない。
アフリカは全体的に女性が働き者。
町の店に立つ男は見ることがあっても、農村部で畑に立ち、食料を調達し、食事の準備をし、子供の世話をし、家で作ったお菓子を売り歩き、洗濯をし、男たちの世話をする。
アフリカンウーマンは逞しい。
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と、俺がお姉ちゃんと話をしているのにわらわらとどこからともなく寄ってくる子供達。
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結局始まるのは、きゃーきゃー言いながらの追っかけっこ。でもちょっと年齢高めのお姉ちゃんも一緒になって走り回って、なんだか鬼ごっこがめちゃくちゃ楽しい遊びに思えた。
ちなみにこっちの鬼ごっこは一味違う。
普通の鬼ごっこが「鬼1vs残り全員逃げ」なのに対し、こっちの鬼ごっこは「逃げ1vs残り全員鬼」。













なんとも無慈悲な鬼ごっこだ。








もはや「鬼ごっこ」というか、「逃走」である。
ただ、どんなルールであれ、みんなで笑いながら走り回るのは気持ち良い。

日が暮れてくると、この集落に人が増えてきた。仕事から戻ってきたのか、家の中から出てきたのか。
ちなみに彼ら、みんなファミリーです。
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たった一人の父親は、こんな巨大なファミリーを持ってどんな気持ちなのだろうか。一人一人に均等な愛情を配分できているのだろうか。この発想自体が日本人的なのだろうか。

こちらも夕飯の準備をするママ。砕いたトウモロコシを網で振るって、細かいのと大きいのとに分けている。
この母ちゃんの隣にちょこんと座っている女の子、彼女はスレマの娘ちゃんなんだけど、他の子とは違って俺を見て怖かったらしく泣き出してしまった。なくっていうより、ぎゃーーーーーという悲鳴。少し傷ついた。笑
セネガル奥地にある村訪問の旅② ~Ibel(イベル)に住むプール族のお宅にウルルン滞在記~


ここに住む人たちの暮らしを肌で感じようと、いろんな人と話をしていたら空はあっという間に暗くなった。
そういえば腹が減ったけど、、ご飯はどうしよう。と考えていると、しばらく姿が見えなかったスレマが現れて、ご飯食べるぞー!と、村の中にある彼の家に招いてくれた。
彼はそこにあった料理をクスクスと言ったけど、これは俺の知っているクスクスではない。
このクスクスはトウモロコシをすりつぶした粉に、玉ネギと木の実のソースをかけて食べる。バオバブの実から作ったソースをかけて食べることもあるらしい。
味もまあ美味しい。うめーーーーーー!ってほどではないけど、素朴でシンプルな味で、この村人の手によって作られた家族向けの食事は、この村にステイさせてもらっている俺にとって、これ以上ないご馳走であることは間違いなかった。
やはりこの村でも、先に男性が食事を済ませ、部屋を出る。女性は男性の残した料理を食べるのがルールのようだ。

食事の後、家々の中央にある広場に戻ると、テレビが一台設置されていて、村人たちがテレビに流れるサッカーの試合を食い入るように見つめていた。
まるでAlways3丁目の夕日で見た昭和の日本の風景である。
セネガル奥地にある村訪問の旅② ~Ibel(イベル)に住むプール族のお宅にウルルン滞在記~
また生まれていない時代の懐かしさを感じながら、その微笑ましい光景に混ざり、テレビに映るメッシを応援した。(※サッカーよくわかりません)

サッカーの試合の後に流れたのはニュース番組。それを見ながらスレマといろいろなことを話した。
「そもそもここに住んでいる民族はバッサリ族(エチオロに住む民族)とは違うんだよね?ベディック(Bedik)族なの?」
「いや、俺らはプール(Peul)族でベディック族はケイが明日行くイウォルに住んでいるんだ」
テレビに映し出されている隣国ギニアの大統領選、その立候補者がプール族であることも教えてくれた。

その誇らしげな様子を見ていると、彼らはアイデンティティをセネガルではなく、プール族という民族に持っているのだろうなと思った。
この多様な民族で溢れかえるアフリカに国境という人工的な線を引いたのはアフリカに住む人々ではなく、ヨーロッパ人だ。
民族的意味を無視したアフリカの国境は、強制的に分断された、または強制的に同国にされた民族間の抗争や内戦を引き起こしているのは言うまでもない。

ちなみに、スレマからの質問。日本人、韓国人、中国人の違いがわからない!当事者たちは違いがわかるの?!

出ましたwアジア人以外はほぼ全員見分けがつかないこの三ヶ国。

逆に質問してみた。
じゃあさ、セネガル人は、お隣の国ギニア人を見たときにギニア人ってわかるの?お隣の国マリ人を見たときにマリ人ってわかるの?

スレマはそんなの当たり前だろと言わんばかりに鼻で笑い、違いを説明し始めた。

ギニア人は色でわかる。ギニア人はセネガル人よりも肌が少し白いんだ。セネガル人の方が濃い黒だね。
マリ人は、セネガル人よりも背が低くて、ガッチリ体格がいい人が多い。セネガル人は比較的すらっと長身が多いんだ。

これは面白い。確かに、モーリタニアであったマリ人を思い出してみたら、背があまり高くないガタイのいい兄ちゃんで、この説明に当てはまっていたことが余計に説得力を高めた。
ちなみにモーリタニア人の違いはわかる?と聞くと、

「ああ、彼らはもっと肌が白い。」
「そりゃそうだよね、彼らはアフリカンというよりはアラビックだもんね」
「Exactly」


こういうちょっとした知識って好きだ。
wikipediaには乗っていない生きた見聞の積み重ねが、旅の財産になると信じてる。





部屋に戻り今日撮った写真を見返していた。
セネガル奥地にある村訪問の旅② ~Ibel(イベル)に住むプール族のお宅にウルルン滞在記~セネガル奥地にある村訪問の旅② ~Ibel(イベル)に住むプール族のお宅にウルルン滞在記~
子供達のはしゃぐ姿を見てクスクスしていると、とんでもないことに気づいてしまった。



あれ、、、、あれ、、、、、、、画像が荒い。画質が荒い。じゃりじゃりしてる。なんでなんでなんでなんでなんでなんで






あああああ!!!!!!!!!






ISO!!!!!!!




昨晩エチオロで星空を撮っていたとき、ISO感度を3200に固定していて、それを戻すの忘れてた。
つまり今日1日、ISO3200というとんでもない数値で写真を撮っていたのだ。。。。

※ISOの数値は高ければ高いほど暗いところも明るく写る(手ブレせずに撮れる)が、その分ノイズが増える。明るいとこで3200なんて論外


泣きたくなった。せっかく素敵な写真がたくさん撮れたのに、そのどれもがじゃりじゃりした質感で記録されてしまった。
つまりこの記事、先頭からここまでの写真はじゃりじゃりです。
自分の愚行を悔い、自分のアホさを呪った。

一生巡ってこないシャッターチャンス。
旅の中で見たいくつの素敵な世界を持って帰れるか。
温度感が伝わるような写真を残すことは、俺にとって割と大きなタスクである。

ISOの数値を戻して、消えないじゃりじゃりを恨めしそうに見つめた。
過ぎてしまったものはしょうがない。逆に今気づいてよかった。
そう自分に言い聞かせ、目をつむった。


~じゃりじゃりしていない写真の次回に続く~

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COMMENT

石田昌隆

今月、ヌアクショットからNoura Mint Seymaliというミュージシャンが来日公演を行うのが楽しみなので「ヌアクショット」で検索して、この旅行記に辿り着きました。面白いです! ぼくはアフリカは、アルジェリア、モロッコ、エジプト、エチオピア、ナイジェリア、ジンバブエ、南アフリカ共和国だけ行ったことがあります。ナイジェリアで会ったガーナ人が。「ナイジェリア人は肌の色が薄い」と言っていたのを思い出しました。

返信 REPLY

2017-08-18 23:18:15


石田昌隆

今月、ヌアクショットからNoura Mint Seymaliというミュージシャンが来日公演を行うのが楽しみなので「ヌアクショット」で検索して、この旅行記に辿り着きました。面白いです! ぼくはアフリカは、アルジェリア、モロッコ、エジプト、エチオピア、ナイジェリア、ジンバブエ、南アフリカ共和国だけ行ったことがあります。ナイジェリアで会ったガーナ人が。「ナイジェリア人は肌の色が薄い」と言っていたのを思い出しました。

返信 REPLY

2017-08-18 23:19:22

KEI

石田昌隆さん、コメントありがとうございます!
Noura Mint Seymali、とても見てみたいと思いましたが日本にいなかったので見れませんでした。。残念です。。
たぶん、他の国の人にはわからない日本人と韓国人の違いのように、アフリカンにも微妙な違いがあるんでしょうね。
肌の色の濃淡に関しては僕はさっぱり見分けがつきませんでした。笑

返信 REPLY

2017-09-14 21:50:52


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