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絶景、トドラ渓谷!岩山に住むノマド(遊牧民)の幸せの形。

2015-08-14 22:47:41 モロッコ : トドラ渓谷

サラーム


灼熱の砂漠から乗り込んだバスはエアコンが効いていてとても快適だった。
砂漠ツアーの疲れもあってしばしの間爆睡した。

ハシラビートからトドラ渓谷まではバスを乗り継いで行くことになる。

Hassi Labied→Tinghir(ティネリール) 80ディルハム+荷物預け10ディルハム/supratour社/約4時間

Tinghir(ティネリール)→トドラ 7ディルハム/乗合タクシー/約15分


■トドラの絶景に一瞬で魅せられる

周りの人に、「え、ここ?ティネリールここ?!」と聞いて、自分たちがティネリールに着いたことを知る。
窓の外を見ると、日本人の顔が見えた。
その女性こそ、トドラ渓谷で宿を営むのりこさんだった。
なんとティネリールまで迎えに来てくれていたのだ!!

の「どうも、はじめまして^^」
俺ら「こんにちはー、宜しくお願いします!」


単身モロッコで宿を経営するのりこさんはこの町では有名人。
すれ違うあらゆる人から、「Noriko's hotel?」と声をかけられるし、ミニバスに乗るときに「ノリコ」とドライバーに告げればのりこさんの宿の目の前に連れて行ってくれる。
それくらいに彼女の名は知れ渡っていて、慕われている。日本人がトドラを快適に楽しめるのは彼女のおかげであると言っても過言ではない。

のりこさんに連れられて乗り込んだミニバスでのりこさんの宿。
ドミ140ディルハム(朝晩飯付き)

ハシラビートと同じく、この宿も日本人に人気の宿で日本人が多く集まる。
たまには日本人とずーっと話す時間も欲しくなるからちょうど良かった。


泊まっていた日本人たちはお出かけ中だったので、なおや君とトドラの村を歩いてみた。


歩き始めてすぐに目に入るのは、両側から押しつぶされんばかりの切り立った崖である。
割れた大地の隙間にへばりつくようにして暮らす人間の存在が小さく見えるほどだ。
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この大地に刻まれた裂け目に流れる川を中心に、彼らの生活は営まれている。
川沿いにはカフェ(と言っても小さなお茶屋)が並び、冷たい川で涼を取る家族の姿が目立つ。
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ここに住む人だけでなく、わざわざ遠くから来ている人もいるみたいだ。
川は乾いた渓谷を潤し、枯れた地にたくさんの作物を実らせていた。
イチジクやサボテン、畑では野菜をつくっている。
気になっていたざくろをひとつもぎ取って食べてみた。まだ酸っぱい。食べごろは10月くらいとのこと。
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川で団欒をする姿、これもモロッコスタイル、、、?なの。。。?完全に川の真ん中だよそこ。
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川と合流する前の湧き水は飲むことができて、滞在している間水がなくなる旅にここに水を汲みに行っていた。
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ここで地元のお母さんたちに並んで、川で洗濯をするのもまたトドラの空気を体で感じるいい手段だと思う。
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川沿いには「カフェ ハミド」と日本語で書かれた看板が立つカフェがある。
といっても、屋外カフェで、地べたにマットを敷いてそこに座る。
ここで20ディルハムで出してくれるサーディーンが乗ったサラダとパンがうまいんだ。

カフェは川につながっていて、食事の合間に川でチャプチャプもできるし、昼寝をすることだってできる。
座っているだけで地元の子供が声をかけてくるから、その子たちと話すと飽きることもない。
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川に出てみるとその景色に驚いた。
まるで恐竜でも出てきそうな原始的な風景が広がっていた。
インディージョーンズに出てきそう。これは俺が使う最上級の形容だ。
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宿の近くにあるカスバも、荒涼な渓谷に映える緑の不自然さが妙に冒険心をそそる眺めである。

※カスバ
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地方の小さな砦や地方官の邸またはそれらのある町全体をさす(とくにモロッコ)
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どこに目を向けても、その先には見たことのない絶景が広がっている。
砂漠から一転、風の吹き抜けるこの谷はモロッコの新しい顔を見せてくれた。


■トドラでの楽しみといえば、、、日本食?!

トドラは小さな村ではあるけれども、僕らの口を寂しくさせることはない。

道端になっていたザクロを食べた後は、サボテンの実を食べられることを知って、どんな味か確かめてやろうと思い、ちょっとした崖から実を乗り出して実をグリグリもぎ取ろうとした。
あれ?トゲとか全然ないじゃない!余裕余裕。
というのも、サボテンの実を取ろうとしたら、一緒にいた日本人のりさちゃんとゆみさんに「トゲがあるから取れないよ〜」と言われていた。
トゲなんてどこにも見当たらないものの、力を込めてグリグリ引っ張ってもその実はサボテンの葉にしっかりとしがみついている。

と、、、なんか指の様子がおかしい。
指を見ると、産毛のような小さなトゲトゲが無数に刺さっていた。
トゲってこのことか!!地味に痛い!!
まさに木を見て森を見ずだ。
食べる前から一気にサボテンの実が嫌いになった。こんなもん一生食うもんか。
と決心したものの、好奇心というのは恐ろしい。
お酒を買いにティネリールの町まで繰り出した時に少年が屋台でサボテンの実を売っていて、しかもその場で剥いてくれるというサービス(?)に心奪われ、じゃあ〜これ、、、と照れながらサボテンの実を購入した(1個1ディルハム)
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結果













二度と食べない





なんとも表現の難しい味がして、とりあえず美味しくはない。
みずみずしいと聞いていたけど、ぐちょっとしていて種も多いし、正直この果実を食べるメリットが見当たらないというか果実と呼びたくない
しかも「じゃあこれ」とサボテンを指差した時に触れたサボテンの実からまたもやトゲをプレゼントされ、完全に俺はサボテンとは分かり合えないということがわかった。


ただし、他のフルーツはとてもおいしい。
日本で売ってるものとは違う実が白いメロンや大きなスイカは安くで買うことができて、冷やすと夕飯のデザートにぴったりだ。
道を歩いていると現地の人がぶどうをくれることもある。
日本語を話しながらスイカにしゃりしゃりかぶりついていると、ずっと前に離れた日本の夏を思い出した。


なんといってもここトドラで食べておきたいマスト食といえば、のりこさんの作る日本食だ。(通称のりこ飯←俺が呼んでるだけ)
俺が滞在中に食べたものといえば、日本の味のカレー、唐揚げ、牛丼、鯖丼、ナスのおひたし、ズッキーニの漬物、野菜の煮物、ロールキャベツ。
どれも口に入れた瞬間「うめーーーーーーーー!」と叫んでしまうものばかり。
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晩飯は上記のような和食中心なのだけど、俺は朝食も大好きで、砂漠の宿でも食べた「ベルベルオムレツ」と呼ばれるタジン鍋で作ったオムレツだ。
トマトソース(もしくはフレッシュトマト)をふわっふわの卵でとじたオムレツで、タジン鍋で作るから最後まで熱々で食べることができる。
毎朝ベルベルオムレツだったけれど、全然飽きることはなかった。

いつも傍で僕らの食べる姿を見ているのりこさんは、まるで子供たちがガツガツご飯を食べる様子を見守る母のような面持ちだった。


■トドラトレッキング!トドラの遊牧民、岩山で暮らすノマドのお宅訪問

この宿は、たくさんの日本人の旅が重なる瞬間が多く訪れる。
スペインの巡礼、カミノ・デ・サンティアゴを終えてモロッコに来たユミさん。
世界一周中、俺とは逆方向東回りのタメ、リサちゃん。(是非東チベット行ってね)
ドイツでシェフやってるケンゴさん。
世界の山を回るリカさん、シモさんのシモオカ夫妻。

それから俺が到着した次の日に宿にやってきたのは見覚えのある二人。
ユウスケくんとナギサちゃんだ。(前記事参照)

その次の日には、なんと一家四人で世界を旅をしている瘧師一家がやってきた。
パパのひろさん、ママのみかさん、6歳のそら君、3歳のあおい君。

やんちゃ盛りのあおい君に、そのあおい君をいつも泣かせるお兄ちゃんそら君。
宿が一気に賑やかになった。

こんな歳で世界一周なんて、、、!いい経験してるな〜。
見ているこっちが幸せになるような理想の家族像だった。旅の新しい形を見せてもらったな。
とてもいいなと思ったのが、そら君の乳歯が抜ける時期で、抜ける度に世界各地に埋めてるらしい。
そら君が大きくなった時に、自分の歯を巡る旅とか、テーマを持った旅をするきっかけになるし、日本人にとって比較的意味を持つ体の一部、乳歯が世界各地に埋まっているっていうのは、自分だったら周りの人に自慢すると思う。笑

砂漠から一緒に来たなおや君は天気マニアだということもわかった。


それぞれが違うバックグラウンドを持ちながら、それぞれのスタイルで、それぞれの思いを持ちながら進む旅のルートが、この一点で交わる瞬間、この瞬間がどうしようもなく好きで、旅をしている中で感じる奇跡の一つだ。



ある日、ヒロさん、ナギサちゃん、なおや君、俺の四人で、目の前に立ちはだかる巨大な岩に登ろうということになった。
登るといってもロッククライミングではい。トレッキングだ。
ちなみにトドラはロッククライミングの聖地らしく、宿で280ディルハム払えばインストラクター付きでロッククライミングをすることも可能。
16:00、通い慣れた水汲み場を横目に、今まで行ったことのない先まで足を進めた。
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トレッキング自体も楽しみだったが、俺がそれ以上に目的としていたのが、ノマドの家を訪ねるということだ。

ノマドとは特定の住居を持たずに生活する遊牧民のことで、トドラに住むノマドは、この切り立った岩山の中で岩に穴を掘り、テントを張って生活している。
彼らがどのような生活をしているのか、どのような人たちなのか、なぜそこで暮らしているのか、それが知りたくてたまらなかった。

岩山に暮らすトドラのノマドは、生活水を求め川に水を汲みに降りてくる。
トレッキングに出発した瞬間に、村の道で荷物運び用のロバを連れたノマドの女性を見かけた。
1ディルハムを渡し、写真を撮らせてもらう。
色鮮やかな服をまとったとても綺麗な目をした女性だ。
ここにしかいない彼らの写真を撮らせてもらえるのなら、1ディルハムなんて安いものだ。
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歩いていると、通称そして自称クレイジーベルベルが現れた。俺らはやつをオレンジと呼んだ。
こいつ、毎日ここら辺にいて、毎日声をかけて来るんだ。この日も例に漏れず、「へーーーーいじゃぱにーず」と声をかけてきた。
だがいつもと様子が違う。この日は女の子のナギサちゃんがいたからオレンジは彼女にべったりだ。
肩に手を回し、勝手に案内を始める。もちろん最初にこう断っておいた。


ノーマニーだからな


絡みが面倒臭いオレンジでも絵になってしまうくらい、トドラの風景は力強い。
そこに存在するものを飲み込んでしまうほどの威圧感に満ちている。
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絡むのに飽きたオレンジが去ってからは僕ら四人だけでトレッキングを開始した。
16:00を過ぎても日差しは刺すように強いものの、なだらかな登りが続き、体力的には余裕を持ちながら足を進めることができる。
たまに振り返り、背後に広がる巨大な岩と、川に削られた空間を流れる風にパワーをもらいながら一歩一歩上に登る。
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周りには誰一人歩いていない。
ここにいるのは僕らだけだ。
その独占感に浸っていると上からロバを連れたノマドの女性が降りてきた。
この岩山のどこから姿を現したのだろうかと一瞬考えてしまったが忘れてはいけない。
ここが彼らの家であり、僕らはそこに立ち入らせてもらっているのだ。
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ところで、トレッキングに1.5リットルのペットボトルの水で足りるかな、、と不安になっている中、なおや君はなんと500mlのペットボトル一本しか持っていなかった。
「は?!それで足りるの?!」
「あ〜僕普段から水あんまり飲まないんですよね〜」
「いやでもこんな暑いのに全然汗出てなくない?水分足りてないだよ、危ないよそれ」
「あ〜僕汗かいてもすぐ蒸発するんですよ〜」

などとちょっと意味不明なことを口走っており、もう既に強い日差しに脳がやられてるんじゃないかと心配になった。
みんながごくごく水を飲む傍、彼はペットボトルを一瞬口に付けるのみで、唇を潤す程度の水分しか摂っていない。
どこのサバイバルだよw
まあ、いいや、足りなくなったら分けるからその時は言ってくれ。


だいぶ登ってきたところで、岩に不自然に開く穴を発見した。
人工的に開けられたのかとさえ思えるような形をしているその穴に、何を思ったか手を突っ込んで見ようとした。

その瞬間、スルスルスルと動く何か。。。。

ん?今何かいたよな?

目を凝らして穴を覗いてみるも、暗くて奥が見えないから、カメラのフラッシュをたいて撮影し、ズームしてみた。




【閲覧注意】













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な に こ れ 。 。 。

トカゲ説とヘビ説と未確認生物説で大論争となったのだけど、真相は闇の中である。。。

ここら辺から一気にドラクエ感が増してきた。
ここまで書かれていた順路を示す矢印が消え道がわからなくなり、なんとなくで進み始める。
そうすると周りから「シャーーーー、シャーーーー」という音が聞こえる。

「え、この音ってヘビの鳴き声じゃね。。。??」

さっきの生物でヘビ説を疑ってやまなかった俺は一気にビビり始めた。
やばい、早くこのゾーンを抜けなきゃと早足になった時に、その音が茂みの中からしていることに気がついた。
よーーーく目を凝らして見てみると、何やら動く黒い物体。







【閲覧注意】












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ぎゃあああああああああああああああああああああああ!!!!
きもい!!!!きもすぎる!!!!!!!!!!!!!!!!!
ゴキブリとクモの気持ち悪いところを合体させたような姿。
こいつがいたるところで鳴いていた。僕らは完全に包囲されたのである。
ただ、こいつ、ピョーンとかこっちに飛んできたりしたらもう気絶もののキモさなんだけど、どうやら飛べず、歩くのも遅い。
鳴き声が無くなるところまで一気に駆け抜けた。



そこは、周りに自分達より高いものが一切ない、眼下に絶景を見下ろすピークだった。
意図せず頂上にたどり着いたらしい。
今まで遥か上に見上げていた岩の塊を、自分よりも下に見下ろすのがなんだか不思議な感覚だ。
間近に見ていた岩を遥か遠くにみると、今までは気づくことのできなかった滑らかさに気づく。
僕が感じた、全てを飲み込んでしまいそうな威圧感は、全てを包み込む抱擁感だったのかもしれない。

このような地球の姿を見るたびに、自分の存在の小ささを感じる。
地球はまさに全人類を育む母なのだ。
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なぎさちゃんが言った。
な「ピークってなんのピークなんだろうね?」
一同「???」
な「え、、?なんのピークかって、、、」
一同「頂上とかのことをピークって言うんだよ、、?」

この場所がテンションのピークだとでも思ったのだろうか。
それとも疲れのピークだろうか。
彼女もまた強い日差しに頭をやられたようだ。


ピークで大地のパワーを身体中に受け取り、下りにさしかかった。
その時、遠くにヤギのようなロバのような動物が見えた。

間違いない。あれはノマドの家畜だ。

俺が目指すものは逃げも隠れもしないのに、無意識のうちに急ぎ足になる。




さっきまでいたピークの山肌の陰にテントが見えた。
ノマドの家だ。
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やっと見つけることのできたノマドのテントに興奮を抑えきれず、小走りで下っていく。
そうすると向こうから小さな子供が二人小走りでこちらにかけてくる。

「ここから出て行け」「ようこそ」これのどちらかだろう。
あと一歩でぶつかるという距離まで来たところで恥ずかしそうに「テ?」と言ってきた。
どうやら後者みたいだ。「テ」はフランス語でお茶の意である。

照れているのか、緊張しているのか、形式的にお茶に誘っただけなのか、子供たちの顔に笑顔はない。
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テントが張っていある場所に行くと、父親なのか祖父なのかわからないおじいちゃんが一人、さらに小さい子供が一人、母親と思われる女性が一人いた。

「サヴァ?」と挨拶する。

彼らは誰も英語を喋ることができない。
そして僕らは誰もフランス語を喋ることができない。
この先確実に必要になるだろうと思って練習していた片言のフランス語で話しかけてみた。

「Comment vous appelez-vous?(名前はなんですか?)」
「ハメッド」

おじいちゃんはハメッド。
子供達は、お兄ちゃんがラッシ、真ん中の子がアビシャ、一番小さい子がファトマ。
お母さんはアエーシャ。

「je m'appelle Kei.(俺の名前はケイです。)」

この相手の名前を知るという行為はとても大切で、距離が一気に縮まる。
子供達は徐々にリラックスした表情になり、おじいちゃんも饒舌になってきた。
お母さんは羊の毛から糸を紡いでいた。編み物などの工芸品を作って町で売るためだと思う。

子供達がとても愛らしくて、何かあげたいなと思って、ノートを破り定番の鶴を折ってあげた。アビシャがにっこりしながら受け取る。
ひろさんが割り箸が上に上がる手品を披露すると、子供達も声をあげて笑うようになった。
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後ろからツンツンとやられて振り返るとキャーーーーーと言って逃げてしまう。
この〜!とゆっくり追いかけまわして、キャーキャー言いながら逃げる。
こっちが立ち止まって別の方向を見ていると、そーっと近づいてきて、またツンツンやってくる。
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日本人の子供達と変わらない無邪気さだ。
しばらく子供達とそんな追いかけっこをしていた。
最初のこわばった顔からは想像もできない弾ける笑顔は、僕らの距離が縮まったことを物語っている。
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それを見てにこやかに微笑むお母さん。

それにしてもみんな本当に綺麗な目をしている。
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彼らの血族がそういう外見の種なのか、文明に支配された人間の目が曇っているのか。
その目で見渡すこの美しい大地に、彼らは何を感じているのか。
必要最低限のもの以外はないこの家で、彼らは何を思い生活しているのか。
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彼らを見ていると、モンゴルの草原に暮らす遊牧民、北インドラダックの山あいに暮らすチベット民族、ヒマラヤの山奥に暮らすシェルパ族に会った時と同じ感覚を覚える。
彼らは皆、自然を愛し、家族を愛し、文明という便利さを放棄した自らの暮らしに誇りを持っている。

物質社会から隔絶されたこの場所で、精神的な充足を獲得した彼らは、僕らが持っているほとんどのものは持っていないし必要とすらしていないかもしれないけれど、僕らが持っていないものを持っていた。












「幸せってなんだ」


旅はしばしばこの問いを僕に投げかけてくる。












ちょっとゆっくりしてしまった。
早く出ないと下山する前に日が沈んでしまう。
みんなにバイバイを言って、後ろ髪を引かれる思いで立ち上がった。
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途中までお兄ちゃんのラッシが送ってくれた。
最後の最後までツンツン攻撃は続いた。俺ももっと遊びたいよ。
最後は握手をしてお別れ。
振り返るとラッシは元気に山の向こうへ駆けて行った。
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帰り道は道がわからなくなりながら、遥か下に見える僕らの村を目指して下った。
途中見えたのは石で書かれたノマド文字だ。
何かのメッセージなのかはわからないが、まるでミニナスカの地上絵だ。
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途中記念撮影。
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歩いていると、たまに目の前にあのクモとゴキブリのハーフ虫が現れる。

「うわ!」

と驚きの大声を上げると、あっちもビクってなっていた。
なんだか歩き方ものっそのっそしているし、ここら辺からこの虫が可愛くさえ思えてきた。

道に落ちているロバの糞や、道端に積んであるケルンが僕らの家までの道しるべだ。
絶景、トドラ渓谷!岩山に住むノマド(遊牧民)の幸せの形。

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途中道を間違えたらしく、トゲトゲの草が生い茂る中を痛い思いをしながら通り抜ける。
目の前に流れる川を靴を脱いで横断する。
最後の最後まで冒険感に事欠かないトレッキングだった。
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21:00帰宅。


計5時間のトレッキングだった。
心地よい疲れと満足感に満たされ、この日の夕飯はいつもに増して五臓六腑にしみわたった。


ちょうどこの日がブルームーン。いつもは見えない岩山をこの日は月が夜通し照らし出す。
光のない生活のノマドファミリーも、今日はきっとこの自然の照明を喜んでいるのだろう。
谷を吹き抜ける風に吹かれ、登ってきた山を見ながらそんなことを考えていた。

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2015/08/12

サハラ砂漠。そこは美しさで満たされた場所だった。

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2015/08/15

さようならモロッコ。最後の町、エッサウィラで刺身を浴びるほど食べたお話。

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